軽やかに踊る

備忘録

青の煌めき

 

 

というわけで、2021年7月から10月までテレビ朝日系列『NUMAnimation』枠ほかにて放送されたMAPPA制作による日本のオリジナルテレビアニメ、『RE-MAIN』が面白かった話がしたい。

いや〜〜〜〜〜〜めっちゃ面白かったな!?!?!?推しが出るからと軽い気持ちで見始めたときにはこんなに衝撃を受けるとは思っていなかったのでびっくりした、嬉しい驚き。ずっとコメディノリだったのにこんなシリアス展開が待ち受けてるなんてこと、ある?

 

 

※以下、ネタバレありのざっくりとした感想

 

 

 

 

記憶喪失という重い身の上でありながらびっくりするほどみなとがするっと現実を受け入れていて、過去の栄光にもそこまで執着せず、序盤からずっと朗らかで、ホッとするよりむしろこれは自分でも気づかない間に無理をしていて途中から急にしんどくなるパターンか……?と不安に思っていたのだけれど、もうそんな次元の話じゃなかった。わりととんとん拍子でメンバーは集まったし勝てないのは悔しいけどそりゃ初心者ばっかりだから仕方ないよなあ〜って呑気に見ていたら、まさかの衝撃展開だった。記憶喪失という設定を本当に上手く使っているな〜。そして、それまでのみなとはあくまで小学6年生の頃のみなとであってだからこその無邪気な明るさだったんだなってあらためてすごく納得した。

昔の映像が映った瞬間、本当に震えて。小説で主人公である一人称の"私"が読み手であるわたしたちにも隠している秘密を「〜なんだよね」ってさらっと明かすシーンであったり、文章のギミックでわかりにくくなっているけれど実は犯人が一人称の"私"だと明らかになるシーンだったり、そういう場面がめちゃくちゃ好きだから、本当に痺れた。最高だ。起承転結の転があまりにも良すぎる。

そうして迎えた最終回も本当に良かった。全部が出来すぎているというわけでもなく、でもお母さんのやりきれない後悔とかちぬさんの我慢とか百の葛藤とか、それぞれのキャラクターがそれぞれ抱えていたもの乗り越えられた場面が描かれていてとても気持ち良く終わることができて。最後まで見られて本当によかったな。

もし事故の後記憶を失っていなかったとしたら、その意識のない期間で変わってしまった自分とどう向き合うのか、というシンプルな物語になっていたんだろうなと思うと、ただだだ上手いの一言に尽きる。

 

みなとくん。上村くん、記憶を取り戻してからのみなとが全く違う人に見えるのすごい。リメインは水球部の物語でもあり、ずっと家族の物語でもあったんだな。みなとが水球をやらないと言ったときもそれでいいよってあたたかく受け止めていたけれど、ずっとお母さんは辛かったんだなってとてもとても感情移入した。辛さは比べることはできないけれど誰よりも責任を感じて辛かったのはお母さんだよなあ……。みなとの、あらゆる努力を惜しまない人なところすごく尊敬する。全国1位の成績も、才能ではなく誰よりも努力した結果だっていうの、すごく良い。「記憶取り戻したいって思わないんですか?それまでの人間関係とかわからないんですよね、怖くないんですか?」って栄太郎に聞かれて「こうやってこの景色見れてるだけよかったなって思うようにしている」って返すのとか、ずっとリハビリシーン描かれているわけではないから実際は苦しんでいるのかもしれないけれど、そういうところになんか物事に対するみなとの姿勢が表れているんだろうなと思った。「どこまでも秀でていたのは努力する才能だ」と言われて、前向きにもう一度取り組もうと思えるところ。日本一になれたのは何日も何日も練習した結果だとわかってホッとした、元々ないなら努力すれば元に戻れるのかなって思ってると栄太郎に告げるところ。「許すも何も僕がダメダメなのは本当だから」と言うところ。記憶を取り戻したら嬉しいことであるはずなのにみんなとの記憶が消えてしまったらと思って泣きそうになるところ。本当に人間ができているしかわいかったなみなとくん…………(過去形) それがあのみなとくんになったんだと思うとさ〜〜〜〜〜〜コーチの罪が重すぎる。優勝した試合のチームメンバーの反応を見るとただ厳しいだけではなくて人望のある人ではあったんだろうなと思う。でももしみなとが元のみなとのままだったら最後あそこでパスは回さないだろうなと思うから、みなとはやっぱり変わったんだなって感じられてすごく良かった。努力の証であるビデオが記憶を取り戻すきっかけになったっていうのもいいなあと思った。

栄ちゃん。初期の「みなとせんぱ〜い♡」って言っているときよりもみなとにぶっちゃけてからの方がずっと人間味があって100倍好きになっちゃった。自分からあんなに熱心に勧誘したくせにみなとが昔のように動けないとわかってからの手のひら返しがもうすごくて「誘ったのはそっちなんですが!?!?!?!?!?」と画面に向かって叫んだけれどやっぱり一貫してるんだよね。性格がすごく良いわけじゃなくてずっと打算的だし、勝手に期待しておいてがっかりしたところを見せたり自分が辛いから辞めるとか言い出したり、わたしだったらと思ってめちゃくちゃ腹を立ててしまったんだけど、でも栄太郎がいなかったら全部なかったわけで、現状を打破する力、押し通す力、すごいなあと思う。わたしにはそこまで他人の人生を巻き込むことに対する覚悟がないのでシンプルにすごいなと思ってしまう。結果論だけども。みなとに打ち明けるシーン、ただただ恐怖で震えた。こんなホラーシーンある……?おかげで信頼度がだだ下がりして嘘泣きは本当に嘘泣きしていると思っていたから後から心の中で謝罪した。笑 最終試合で「手加減しないでください」って敵チームに言うときのセリフの言い方がすごく好きだった。

上から読んでも下から読んでも城島譲くん。「マイナーかメジャーで部活決めないでやりたいかどうかで決めろよ」とかかっこいいこと言っといてみなとをダシに勧誘し始める調子いい人かと思いきや、並々ならぬ水球への情熱があって10年廃部状態だった水球部を復活させて、それもずっとお父さんのことがあったなんて、好きなんだが!?!?!?みなとに期待をかけてしまったと気づいたときにすぐ謝ったり、江尻くんに動機なんかなんでもいいだろって言ったり、すごく熱くていい人。

あみあみ。協調性0で我が道を行くタイプなのになのにこんなに兄に囚われ続けている男子高校生この世にいるか……?って思うくらい兄のことになるとすぐころっと流されちゃう網浜くんのこと、好きです。うっしーに本当のことを告げようとするところ、すごくらしくて良かった。

ぶーこと武一くん。登場したときから「俺の才能があれば余裕っしょ!」って言ったり「すげぇ選手になって俺を引き止めたこと自慢させてやりますよ!」って言ったりと基本姿勢はイケイケだけど悔しい過去を抱えていて、だからこそ活躍シーンが誰よりも嬉しかったな。

ババヤロくん。癒し的存在で柔和な性格だけれど芯がとても強い人なんだなって思った。お菓子作ってきてくれるのかわいい。チョコ食べたい。

うっしー。うっしーは本当にすごい。第6話もすごく好きなエピソード。みんな上達しているに自分だけが成長できない、足を引っ張っているっていう状況で、自分のペースで頑張ろうって思えて良かったね;;となった。

こういう部活物を見るとどうしても自分の中高時代の記憶が蘇るなあ。放課後の練習、誰も居ない部室の空気、昼休みの空き教室での話し合い、土曜の部活終わりの帰り道、悔しくて悔しくてたまらなかった思い出も全部が懐かしくて、一生戻れないほろ苦さがあって、ふっと思い出してたまらなくなっちゃった。

にしても垣花くん、恋だったな……わかりやすくああいういい人が好き。と思ったら八代の拓ちゃんだった。

ていうか、ていうか、全編通してまじで妹ちゃんが好きだ;;バカアニキと言いつつもずっとみなとくんのこと応援していて、こんなにも真っ直ぐにいい子いる?ずっとずっとかわいかった〜妹にしたいしこのまま成長していってほしいという勝手な思い。

 

めちゃくちゃ嫌な人達だった立花学園のみんなも応援してくれているのを見たらかわいく思えてきてしまったし、ちぬさんも最初は親身になってくれていたけれど途中でずっと恨んでいたことがわかったし、って考えるとリメインは登場人物の印象が物語の中でガラッと変わることの多い作品だったなと思う。全編通してところどころで絵が挟まれる感じとかみなとのツッコミとか、笑いの部分もタイプで楽しかったな。今まで知らなかった水球のルールに触れられて、試合のシーンも臨場感があって面白くて、実際の水球の試合も見てみたいなあと思った。素敵な作品をありがとうございました!いつかまたみんなに出会えますように。

 

ヒロアカの映画、Free!の映画、リメインと立て続けにアニメーションコンテンツを摂取して、やっぱりアニメっていいなあ!?ってなれたのもすごく嬉しかった。最近は忙しくて昔ほどアニメを見られていないけれど、やっぱり創作には創作の良さがすごくあって、こうやって心を動かされる体験って最高だなあって思った。秋のアニメもまたいろいろ見られたらいいな。